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fx レバレッジの心をつかむための施策

しかし、米国の投信会社のすべてが優れているとは思えない。
その多くは、ここ数年間のニューヨーク市場の好調に支えられているだけで、必ずしも優れた技術を利用しているとは限らないからである。
海水パンツをはかずに市場を泳いでいるファンド・マネージャーは、好景気の中では上手く泳いでいられるが、不況になって潮が引くとたちまち裸で泳いでいることが露見する可能性がある。
もしかしたら、A銀行の提携先は裸かもしれないのである。
 資産運用技術が、現時点で米国に比べて劣っていることは仕方がないとして、実力のある企業と提携してノウハウを蓄積し、そのうち提携先を凌駕する技術を開発してくれれば、それは大変結構なことである。
しかし現状を見る限りでは、そう楽観してもいられない。
なぜなら、外国企業はなかなかノウハウを引渡してはくれないからである。
もちろん中には、本格的に資本運用技術の開発に取り組んでいる企業がないわけではない。
しかし、そのような企業は、数えるほどしかないのが実態である。
 特に心配なのは、二〇〇一年から自主運用されることになっている、二五〇兆円の郵便貯金資金である。
これまで、財政投融資に廻されていたものが、ドカッと市場に出てくるのである。
恐らくは大半は、(大蔵省改め)財務省が新たに発行する債券に廻るのであろうが、このうち何割かを本当に自ら運用(自家運用)するのであれば、大変なことである。
果たして郵政省は、それまでに十分な実力を蓄えることが出来るのであろうか。
 不安だらけの資産運用 また、近々導入される予定の確定拠出型年金(いわゆる401k)も、心配だらけである。
このままゆけば、このビジネスも外国資本の草刈り場になる心配がある。
国民に対して、資産運用のリスクに関する知識を教育することは大切である。
しかしそれより先に、資産運用ビジネスの技術をレベルアップすることの方が、より重要なのではないだろうか。
 日本の資産運用技術が遅れている原因の一つは、これまで様々な規制によって、自由な資産運用が制限されてきたことである。
例えば、わが国では年金資金の運用にあたっては、国内債券に五〇%以上、国内株式に三〇%以下、外国資産は三〇%以下、そして不動産は二〇%以下という「五‐三‐三‐二規制」が運用者の手足を縛ってきた。
 仮に、国債利回りが五%以上であれば、この規制の枠内で六~七%の収益を得ることは難しくないであろう。
日本の投資家は、アメリカの投資家ほど貪欲ではないから、適当にやって六~七%のリターンが得られるなら、何も七難しいモデルなどを使わずに適当にやれば良い、と皆が考えていたのではないだろうか。
 しかし時代は変おった。
長期国債利回りが一%台の時代に、今までのような運用をやっていたのでは、五%のリターンを得ることは不可能である。
日米辛日欧の金利格差が四%以上もあるという時代には、為替リスクをヘッジしつつ、より積極的に海外への分散投資を行うことも必要であろう。
 折から規制緩和の流れの中で、様々な規制も徐々に緩和される方向にある。
数年以内に、より自由な資産運用が行える時代が来るであろう。
しかし、もしそうなったら、技術力の差が企業の死命を制することは必定である。
 わが国の資産運用ビジネスも、いまのうちに力を磨いて、国民が戦後五〇年にわたって蓄えてきた資産を、適正に運用してほしいものである。
 そこで以下では、正統派のポートフォリオ理論をベースとする資産運用技術の概略を説明することにしよう。
 資産運用理論は、現在にいたるまで、H氏の平均・分散モデルが土台となっている。
M氏以前の投資理論では、なるべく収益率の大きな銘柄を見つけ出し、その銘柄に集中的に投資するのが良いとされていた。
ところが、普通の場合投資家は、いくつもの株に投資を分散させている。
実際、古くから投資家の間には、「一つのかごにすべての卵を盛るな」という格言があるくらいである。
では、投資家はなぜ投資を分散させるのだろうか。
 ここでH氏は、平均的な収益率のほかに、収益率のバラツキ具合から派生する「リスク」という概念が、重要な役割を果たしていることに気付いたのである。
そしてこのリスクを測る指標として、収益率の分散(またはその平方根である標準偏差)を採用し、「平均・分散理論」と呼ばれる理論を組み立てた。
 この理論では、投資家は、平均収益率が同じポートフォリオの中では、リスク(分散)が最も小さくなるものを選び出すものと仮定する。
そして、実際のデータを用いて計算を行ったところ、投資家の分散投資行動を見事に説明することが出来たという次第である。
こうしてH氏は、それまで勘と経験を頼りに行われてきた「投資」を、科学化・定量化することに成功した。
そこで以下では、なるべく数式を使わずに、マー=ビッツの理論を説明することにしよう。
 投資家は、一定期間(例えば一年間)にわたって、資金を様々な資産に投資して、期末の成績を評価する。
ここで大切なのは、投資の「収益率」という概念である。
 収益率というのは、単位投資額当たりの収益の大きさを表すものである。
同じ一〇万円の収益であっても、一〇〇万円の投資に対する一〇万円と、一〇〇〇万円の場合の一〇万円とでは、意味するところが全く違う。
前者の収益率が一〇%であるのに対して、後者はたったの一%にすぎない。
投資の効果を比較するためには、投資金額と収益の比率を考えなくてはならないのである。
例えば、ある株式の現在の市場価格が一万四〇〇〇円で、それが一年後に一万五〇〇〇円になったものとしよう。
そしてこの間に二五円の配当があったとすると、一年間の収益率は、すなわち七・三%となる。
 H氏は、各銘柄の収益率が、ある一定の確率法則に従って変化するものと考え、ポートフォリオズのパフォーマンスを評価する上で、次の二つの規準を設定した。
・一収益率の平均値は大きいほど望ましい。
・一収益率の分散は小さいほど望ましい。
 一つ目は、投資家たちによって、古くから広く受け入れられてきた指標である。
一方二つ目は、それまで漠然と捉えられていた投資の「リスク」を、収益率のバラツキ具合の尺度である分散で表現する、という画期的なアイディアであった。
確率変数尺の分散とは、瓦とその平均値との差の二乗の平均値をとったものである。
 数値例 ここで、H氏のアイディアを具体的にイメージしていただくため、次のような数値例を導入しよう。
 まずスキー用品メーカーのA社の場合、その収益率に最も大きな影響を与えるのは、冬から春にかけての気象条件である。
厳冬で大雪が降れば、スキー用品が大量に売れて株価が上がるが、暖冬になったら赤字必至である。
一方のビールーメーカーのB社は、逆に冬は暖かいほど消費が増え収益が上昇する。
これに比べると、アパレルーメーカーのC社は、寒いほど売り上げが増えるが、上の二社ほど気象の影響は少ないという。
 一方、気象庁の長期予報によると、この冬が暖冬、平年並み、厳冬になる確率はそれぞれ三分の一であるという、そこで各々の銘柄の平均収益率と標準偏差を求める。
これをみると、BとCは平均収益率がともに七%であるが、Cの収益率のバラツキ具合(標準偏差)は、Bの半分である。
したがって、H氏の基準に照らせば、Cの方がBより望ましい投資対象であることが分かる。

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